道下和彦(みちしたかずひこ)
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質問コーナー「ビバップ・スケールの構造」
Q「ビバップ・スケールについてもう少し詳しく知りたい・・・」 前回記事について質問をいただきました。 本ブログ記事は主…
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⃞
今回は「ブルースのコード進行」についてのお話です。
コード進行はジャズのアドリブを演奏する人たちにとって、
永遠のテーマであり、
ハードルであり、
便利な道具であり、
魅惑の存在?です。
コード進行が味方になるか、敵になるかによって、その人の音楽の楽しみ方が変わってくるかも知れません。
コード進行を勉強する時には言葉が沢山出てきます。
トニック、サブドミナント、ドミナント、サブドミナントマイナー、セカンダリードミナント、エクステンディットドミナント、モーダル何チャラ、リレーテッド何チャラ…
言葉が多すぎです
これらの言葉は「機能」と言って調性内におけるコードの役割を示したもので・・・
そんな説明が始まった途端、理論が嫌になる人もいるのではないでしょうか?・・・?
なんでジャズ理論ってこんなにややこしいのでしょう?
伝える為に作った「言葉」が、逆に理解を妨げているということかもしれません。
今回はシンプルにコード進行を理解する1つの言葉を紹介します。
それは「ドミナント」です。
ドミナント(dominant) は優位・支配と言う意味です
コードが支配する?って、どういうことでしょうか?
それはドミナントが「解決したい!」という(我が儘な?)性格を持っているという事なんです。
ドミナント・コードとは
これです。
1.3.5.b7です・・・
例えば、
こんな風に曲が終わったら・・・
譜例2)
ええ〜〜〜っ
ってなりませんか?
ドミナントはけじめをつけたいのです・・・
ドミナントには「動き方」が2つあります。
(本当は色々ありますが今はこの2つを覚えてください。)
それは「4度進行」と「半音進行」です。
譜例3)4度進行
⃞
譜例4)半音進行(俗に裏コード、サブ・ファイブなど呼ばれます)
⃞
CMaj7というコードに行きたいドミナント・コードは2つあるという事です。これはCm7でも同じです。
簡単ですがこれを使って色々出来ます。
2つのドミナントを利用して「リハモ」を体験してみよう〜
リハモとはコード進行を「直す」という事です。
リ=直す ハモ=和声
循環コード進行(Ⅰ Ⅵ Ⅱ Ⅴ)をリハモしよう〜
譜例5)
⃞
これをドミナントの2つの動きを利用してリハモします。
上記の進行は4度進行(4th↑)なので、これを半音進行(2nd↓)に変えます。
譜例6)弾いてみましょう〜
⃞
どうですか?
サウンドがガラリと変るでしょう?
この理屈をこねくり回すと、いろんな進行を作れます。
例えば・・・
4度進行(4th↑)と半音進行(2nd↓)を両方使うこともできます。
譜例7)ドミナントを2つに分ける。(弾いてみましょう〜)
⃞
半音&4度進行ドミナントを使って1625をリハモ
譜例8)
⃞
注)これはセカンダリー・ドミナントと言いますが、理屈は後回しにして先ずドミナントの4度と半音の動きに注目してください)
半音と4度進行というキーワードでもう少し考えてみましょう・・・
譜例9)1625のヴァリエーション
⃞
⃞
⃞
という感じで、ドミナント・コードを使ってこねくり回すといくらでもリハモできます。
リハモとは、楽しいテクニックで、作曲、アレンジ、によし、伴奏によし、アドリブによし、ベースラインによし、いろんな利用価値があります。
この世には?いろんなリハモがありますが、今回はドミナント・コードの2つの動きを例に挙げて説明致しました。リハモナイズの話はまたいずれ深掘りしたいと思います。
それでこのリハモをブルース進行に当てはめてみましょう。
「ブルース進行のリハモ」
みんなでブルースのコード進行を考えよう〜〜〜のコーナ〜
4度進行、半音進行を使って、
先ずはシンプルな3コードブルースをリハモしてみましょう。
譜例10)シンプル・ブルース進行
譜例11)シンプル・ブルース進行のリハモ・ヴァージョン
半音のドミナントを使いました
どうですか?
おもしろくなりました(よね?)
続いてジャズ・ブルース進行をリハモしてみましょう。
譜例12)ジャズ・ブルース進行
譜例13)ジャズ・ブルース進行のリハモ・ヴァージョン
これも同様に半音ドミナントを使いました。
さらに、ジャズっぽくなりました(よね?)
ここで少しコード進行を利用したメロディの作り方を紹介します。
コード・トーンを使ってメロディを作るなんて、ブルースに対する裏切り行為的手法です・・・
譜例13のリハモを使ってコードトーンソロを作ってみた・・・
ね?ぞわぞわするでしょう?
コード・トーンを使ったアドリブの練習法については、第6回以降の授業でやりますので乞うご期待。
前回もお話したとおり・・・
ブルースの主役はメロディです。
主役が身につける衣装がコード進行とするならば、あなたはどんな服をデザインしますか?
ブルースのメロディは強いです
ので、結構どんな服も似合っちゃうかも?
デザイナーの腕の見せ所〜
世の中にはどんなブルースの進行があるのか、ちょっとのぞいてみましょう〜
ジャズ・ブルースにも微妙に違った進行が存在します。
譜例14)ジャズ・ブルース進行(DimやⅡ−Ⅴ進行を追加)
チャーリー・パーカーはユニークなオリジナルブルースをたくさん作曲しました。
(説明の為にinCで表記しています)
譜例15)ジャズ・ブルース進行(バード・チェンジ)
譜例16)ジャズ・ブルース進行(Relaxin At Camarillo)
ジョン・コルトレーンも面白いコード進行があります。
譜例17)
譜例18)コルトレーン・チェンジ・ブルース(Giant Stepsのコード進行を使って私が作りました)
マイルス・デイビス はこんなにシンプルな進行を作っています。
譜例19)
と、言う風にジャズ・ミュージシャン達が作ったブルースは面白くてちょっぴり意地悪な進行がたくさんあります。アドリブを面白くするといった意味もあるのでしょう〜
ロックミュージシャンのリハモも、おもしろい物がたくさんあります
譜例20)T.born walkerで有名なStormy Monday は様々なジャンルのミュージシャンがカヴァーしています。
小節数もヴァリエーションがあります。
(必ずしも12小節ではない)
譜例21)16小節ブルースです。
譜例22)16小節、ゴスペルからの影響も感じられるユニークなコード進行のブルース・スタンダードです。
Peter Greenの十八番です。
譜例23)これなんかもうブルースじゃない!という声もちらほらですがブルース・ミュージシャン達に愛されている曲です。Eric Claptonの十八番です。
ジャムセッションで大人気?のブルース進行をあれこれ紹介しました。
是非聞いてみて弾いてみてジャムってくださいね。
ブルース進行は基本的に
と大きく捉えて考えれば良いと思います。
あるいは・・・
AAB形式にメロディに任せちゃってコード進行はさらに自由に発想してもいいかもしれませんね。
メロディや歌詞がAAB形式になっていればトニック、サブドミ、ドミナントといったコードの助けを借りずとも立派なブルースとして成立すると思います。
皆さんも想像を膨らまして面白いブルース進行を考えてくださいね。
先週はブルースのメロディのお話をしました・・・
ブルースの原型と言われている「ワークソング」や「フィールドハラー」には元々コード(和音)はありませんでした。
メロディだけの音楽です。
コードは後で付けたのです(誰かが・・・)
初期のブルースの伴奏はコード(和音)すら無かったと(私は)思います。
ルートだけだったかもしれません・・・
いやリズムだけ、ビートだけ、アクセントだけ、手拍子だけ・・・かも?
大事なことは、南部で生まれた「ワークソング」「フィールドハラー」達は旅をしたと言うことです。
初期のブルースは南部ど真ん中ミシシッピー・デルタで形になっていったそうです。
ギターを使って弾き語りをするおなじみのブルース誕生です〜
デルタ・ブルースの代表選手、Sun Houseの伴奏は完全なに3コードスタイルです。(G Blues)1920年代のブルースは録音が残されていて今も聞く事が出来ます。
デルタ・ブルースの代表的ミュージシャン
Sun House
Charley Patton
Robert Johnson
デルタ・ブルースは旅をしてシカゴにたどり着きます。
そこでパワーアップしたシカゴ・ブルースになったのです。
シカゴ・ブルースの代表的ミュージシャン
Muddy Waters
Howlin' Wolf
Otis Rush
シカゴ・ブルースはイギリスのロックミュージシャン達にも影響を与えました。
シカゴ・ブルースの映画
私の大好きなユニーク・ブルース・ミュージシャンを紹介します。
Blind Blake
ブルースの伴奏という点ではこの人は特筆ものです。
ラグタイム・ブルースの達人です。
元々ピアノの演奏スタイルだったラグタイムをギターでやっちゃった〜ちょっとどうかしてる?人ですが、めちゃくちゃ古いレコーディング(1926)にも関わらず完璧に全部の音が聞き取れます(しかも1音たりともリズムが崩れない・・・)
こちらの曲も3コードから離れて西洋的(ピアノ的)和声感覚でブルースを表現しています。
話が脱線しましたが、メロディしかなかったブルースの原型(ブルース・スケール等)を皆でよってたかってアレンジ&リハモ大会をやりまくった結果?R&B、ゴスペル、ソウル、ファンク、ロケンロール、ロック、果てはポップ&歌謡曲からBTSまで・・・ブルースのファッションショー未だ終わらず・・・いやはや、今更ながらブルースの奥と幅には驚かされるばかりです。
音楽を勉強される方は是非何処かの機会で、ブルースのシャワーを浴びてみるのも良いと思います。
さて・・・
それでは皆さんお待ちかね、
How to Improvise第一回の課題を説明致します。
課題発表は2023/5/20(月)です
ブルースのテーマAAB(1コーラス=12小節)
ブルースの書きソロ(1コーラス=12小節)
合計24小節
を作ってください。
メロディはAAB形式に(なるべく)なる様に。
アドリブは自由に書きソロを作ってください。
キー、テンポは自由です。
楽譜、音源の提出(又は演奏)でお願いします。
私のGoogle Classの中に「ブルース課題」というタイトルの提出箱を作りますのでそこに提出してください。
提出期限は5月19日の23時59分です。
最後に私が作った課題例を載せておきます。
稚拙な例ですが参考にしてくださいませ。
前の記事の続きです。
ジョー・パス ファンの私といたしましては、彼の魅力は数あれど、一押しネタは「ひとりバンド」だと思うのであります。
ドラムもベースもピアノもトランペットも….彼の演奏の中には全部あります
今回の練習法はギター以外の方にも有効です。
ギターに限らず、ソロ(一人)で演奏する時の「最大の敵」はリズム(タイム)・キープです。
たった1人でインテンポ(テンポ通り)で演奏できるのは、アンサンブルに関わる全ての人が出来た方がいい(出来るべき)演奏技術なのですが、ついついドラムやベースに「下の方」を任せちゃって、適当なリズムで弾いてしまいがちです(私も含め・・・)
ぶっちゃけ、伴奏がしっかりしてたら、ずーっと同じ音を延ばしていても絵になってしまう事はみなさん薄々お気づきだと思いますが、その怠け癖?が一人(ソロ)になった時に一気に負の要素として自分に襲いかかるのです・・・
よく、メトロノームか?伴奏トラック(カラオケ)か?という論争を聞きますが、
耳の為には伴奏トラック(コード感を養う)
タイムの為にはメトロノーム(リズム感を養う)
それぞれの目的を持った練習するのがおすすめですね。
ジョー・パスの演奏の魅力の一つは、たった一人でインテンポ演奏を(どんなテンポでも)出来てしまう!ということですが、それをする為のテクニックをちゃんと用意しているのですね。
一直線に進んで行くリズムと、よどみなく、かつ解り易いメロディラインは後に多くのフォロワーを産む素晴らしいギタリストです。
そんなジョー・パスのソロギターから練習法をパクってみましょう!
「伴奏が主役、ソロが脇役」
ジョーパスがインテンポを演奏する時に良く使う手法で「伴奏とソロを交互にやる」というのがあります。
次に紹介する譜例を弾いてみてください。
まずは有名なスタンダード "So What"です。
譜例1)"So What" [Miles Davis]
メロディと伴奏が込みで一つのテーマになっています。いわゆるコール&レスポンス(ボケとツッコミ)系のジャズ・スタンダードですね。
このような曲は珍しい訳ではなく、他にも多数あります。
譜例2)"Mornin" [Bobby Timmons]
譜例3)Stompin' At The Savoy[Edger Sampson]
メロディの相方(間の手)が最初からアレンジされていて、その形のまま皆んなに広まって行きましたので、セッションの場でもこのアレンジが演奏されます。
他にも、
Sister Sadie [Horace Silver]
Gingerbread Boy [Jimmy Heath]
Blue Train [John Coltrane ]
等、自分でも調べて探してみてください。
聞いてるうちに「なるほど、これがコール&レスポンスか〜」ってなるはずです。
これを利用してこんな練習をしてみましょう。
ひとりバンドのやり方です。
譜例4)Blues in C
上記の譜例は12小節のブルース進行です。
リズムが指定されてるところには必ず伴奏を弾きましょう。
その間はあなたの自由時間です(青の部分)
始めからいきなり伴奏とコードを一緒にやるのは難しいので先ずは伴奏だけをメトロノームに合わせて練習してください。
慣れて来たら簡単なメロディを創作して伴奏の間に入れてみてください(マイナー・ペンタがおすすめ)
この練習法は伴奏が主役です。アドリブが伴奏の邪魔をしない様に上手くはめないと、リズムは崩れてしまうでしょう。伴奏を主役としてアドリブする訳です。
譜例5)Blues in C(アドリブ例)
この練習は他の楽器又は複数の人でやる事も可能です。アクセントは必ず演奏してソロを順番づつやるとか、管楽器の人は伴奏の部分を単音ルートでやるとか。
今回のコール&レスポンス奏法はジョーパスのどのソロ・ギター・アルバムで聴く事が出来ます。
彼がインテンポで演奏している時はシングル・ノートとコードが目まぐるしく交差して、伴奏とメロディが互いに会話している様な状況を作っています(アドリブで)
調子の良い時の彼ならば、猛烈に早いテンポでもタイム・キープしながら、伴奏とメロディのスイッチングを平気な顔をしてスラ〜っとやっちゃいますカッコイイ〜(ハゲるなら彼の様になりたい〜)
私的にはこの3枚は是非聴いてもらいたいアルバムです。
特にBlues for 何とか というタイトルがついてる曲はジョー・パスがその場で適当に作ってる?と思われ、遊びまくっていますので、いろんなテクニックが楽しめます。
と、いう事で本日はこれまで〜
本の宣伝
こちらの本の1曲目のMistyはジョーパスに捧げたアレンジになっていますのでチェックしてみてください。
このブログは洗足音楽大学の授業How to Improvise の予習復習用に書いております。
履修学生の方に特化した内容です。
クラス内で使う專門用語なども出てきます。
御理解の上お楽しみください。
前回は、ブルースとは何か?
それは
「AAB形式の12小節の曲」である〜
と、いうお話をしました。
今回は・・・
ブルースのメロディの秘密
と、いうお話をしたいと思います・・・
ブルースとは誠に不思議な音楽です。
クラシックと対極に進化した音楽、と言えるでしょう。
ヨーロッパ発のクラシック音楽は和声(コード進行)を主役として進化してきました。
メロディはコード進行の僕(しもべ)のようなものです。
「和声」がメロディのみならずその楽曲の個性を決定するくらい、影響力を持っています。
モーツァルトの曲とか、知らない人が聴いても和声を間違えたら分かると思います(怖〜〜〜)
それに対してブルースはメロディが絶対的なヒーローです。
いかなるコード進行があろうとも「わしはわしやから〜」といって譲りません。
そんなブルースってどこから来たのでしょう?
ブルースの誕生は諸説ありますが、1800年代(19世紀)頃
映画「ハリエット」は正にその時代です。
映画を見れば解ると思いますが、この時代に、生きる為に必要不可欠な何か(祈りとも、芸術とも、エンターテイメントとも、宗教とも、呼べる何か)が存在したのは確かな事です。
それはものすごいパワーを持っていました。
ブルースの原型と言われている「ワークソング」や「フィールド・ハラー」のDNAは明らかに現在の Pops,R&B,Soul,Rock その他多数の音楽のなかに残されています。
和声が変わろうが、テクノロジーが発達しようが、金があろうが無かろうが・・・・アナログかデジタルか?そんなの関係ないのです。
そのパワーは全く衰えずに、私たちの琴線を震わせ続けているのです。
ぐだぐだいってもしょうがないのでので、先に進みます・・・
ブルースは時代が変わってもある一つの共通点を持っています。
それが今回の主役、ブルース・スケールです。
Minor Blues Scale
Major Blues Scale
「?これってペンタじゃない?」
その通り!ペンタトニック(5音階)に1音(blue note )を足した6音スケールです。
このスケールがブルースのメロディの素になっています。
少しだけメロディの素、ペンタの歴史をたどってみましょう。
Johnny Lee Moore with 12 Mississippi Convicts
G♭マイナーペンタです(Gbmコードで伴奏してみましょう)
"Jody" (Prison work song)
これまたG♭マイナーペンタ(Gbmコードで伴奏してみましょう)
これらは「ワーク・ソング」と呼ばれる作業時の掛け声のようなもので、日本でいう「ヨイトマケの歌」です。(母ちゃんの為ならエンヤコーラ〜)
労働者達は互いに「息を合わせる為に・・・励ます為に・・・苦しさを忘れる為に・・・」ワークソングを歌っていたのです(想いを馳せてください)
Work Songというタイトルの有名なスタンダード・ナンバーもあります。
譜例1)
この曲のメロディにもMinor Blues Scaleが使われています。
「ブルース・スケールの使用法」
ブルース・スケールはブルースのコード進行の上で大変心地よく響きます。
この「響きます」というところがミソで(実は)ブルースのコード進行はブルース・スケールに伴奏を付けているような物?なんです…
Blues in C のコードは次の3つです。
C F G
or
C7 F7 G7
いわゆるトニック、サブドミナント、ドミナントです。
この三つのコードの上でブルース・スケールはどんな表情をみせるか?
ブルースの各コードを弾きながらメロディ(ブルース・スケール)を弾いてみましょう。
まずはブルース・スケールの性格をつかんでください。
右手でマイナー・ブルース・スケールをランダムに弾きながら、
左手でコードを弾いて見てください。
Ex1)
Ex2)
テンポは自由です。
歌いながらやっても気分いいですよ(渋めに・・・)
マイナー・ブルース・スケールがブルースの各コード上でどのように響くのか?それを味わいながら確認してください。
ブルース・スケールに限らず、スケールを練習する時に効果的な方法は「伴奏と共に弾く」ということです。
ピアノの方はもちろん左手を使っていただき、その他の楽器の形はマイナスワンやループマシン、DTMなどを駆使してスケール練習をしてみて下さい。
そのほうが気分もいいし、サウンドも覚えられて一石二三鳥位の効果はあると思います。
次はジャズ・ブルース in C の各コード上で同じ事をしてみましょう。
これらのコードを弾きながら右手で弾いたり歌ってみたりください
Ex3) Jazz Blues進行の上でブルース・スケールを弾く(各コードをルバートで弾きましょう)
⃞
ブルース・スケールはコードに対して使うのではなくキー(調)に対して使います
キーが C ならば C ブルース・スケール(マイナー or メジャー)
キーが Cm ならばC ブルース・スケール(マイナー)
を使います。
コード進行のことは考えなくて良いのです(楽でしょ〜?)
あなたがコードを意識しないでブルース・スケールを弾いてもコードが変われば違った表情を見せるのです。
どんな服を来ても似合うお洒落な奴?と言ったところでしょうか?
クラシック音楽やジャズの理論ではコード進行に対して、濁った音を使ってはいけない!という、「しきたり」がありますが、ブルースにおいてはそれは通用しません!
「何?コード?ふん、知らんがな〜何でもええからワシについてきたらええねん」(素敵)
メロディはメロディ、コード進行はコード進行(俺は俺、おまえはおまえ)なのです。
前述のブルースの初期の「ワークソング」や「フィールドハラー」のなかには、現代のいろんな音楽の中に生きているメロディ達がたくさん見られます。
現代の R&B、ゴスペル、Soul 等は、ブルースが服(コード進行)を着替えただけ・・・とも言えます。
ブルース・スケールを使ってスキャットをするのも良い練習になります。
ゴスペルやソウルのボーカリストがやるような「コブシ」をイメージしてみてください。「歌」こそブルースを練習する最も最高のツールと言えるでしょう。
ブルースは元を辿れば「歌」の音楽です。スケールという目に見える形にするから「お固い印象」になってしまいますが歌った時に「あ?きもちいいい〜」となればそれでいいのです。ブルースの伴奏(YouTubeにあるよ)で歌って気分良くなってください。
「先生〜」
「ハイなんでしょう?」
「さっきからマイナー・ブルース・スケールの話ばっかりですが、メジャーさんが可哀想ではありませんか?」
「すいません、忘れてました・・・」
「Major Blues Scaleの使い方」
メジャー・ブルース・スケールはこちらです
マイナー・ブルース・スケールはメジャーの時もマイナーの時も使用可ですがメジャー・ブルース・スケールは注意が必要です。
メジャーコードの時はもちろん、sounds good !です。
譜例2)音をだして確かめてみてください。
ブルーノートである -3rd の音がメジャートライアドの3rdに対するアプローチ・ノートとしても機能するし、#9にもなります。
譜例3)
譜例4)
それに対してマイナー・コードの上では注意が必要です。
譜例5)音をだして確かめてみてください。
Cm の -3rd とブルース・スケール内のメジャー3度は♭9になってしまい、伸ばす音としては扱いにくいという訳です。
従って、ブルース進行に
メジャー・ブルース・スケールを当てはめる場合は注意が必要です。
それを耳で確かめてみましょう。
譜例6)メジャー・ブルース・スケールをBlues進行に当てはめてみた
赤い矢印の音に違和感があります(よね?)
注意は必要ですが、効果的に使えば sounds very good !
作戦を練りましょう!
名付けて・・・
ブルース・スケール!メジャー&マイナー友達大作戦!
ハイ〜、というわけで
3コードブルースを少し大人っぽく?してみましょう。
譜例7)最もシンプルなブルース進行
譜例8)メジャー&マイナー友達大作戦!を使ってみると・・・(弾いてください)
どうですか?
Ⅰ(トニック)とⅣ7(サブドミ)とⅤ7(ドミナント)のサウンド・カラーが
メジャー&マイナーの2つのブルース・スケールを使うことによって
サウンドの輪郭がくっきりしたと思いませんか?
メジャー&マイナー友達大作戦!はシンプルですが効果的なアドリブ・テクニックで、この手法を使いこなしている素晴らしい演奏家は数多くいます。
「1625」いわゆる循環コード進行を・・・メジャー&マイナー友達大作戦!で弾いてみると・・・
この様に緊張と緩和を作ることができますね?
この現象を利用して
ブルース、ゴスペル、 R&B
等のミュージシャン達は
ブルースを表現しているのです・・・
エリック・クラプトン、ピーター・グリーン、ミック・テイラー、スティービー・レイ・ヴォーン、ジョージ・ベンソン、コーネル・デュプリー、エリック・ゲイル、デヴィッド・スピノザ、ジョン・トロペイなど
ギタリストはこのテクニックに長けた方が多くいます。
スティービー・ワンダー、ダニー・ハサウェイ、マーヴィン・ゲイ、アル・グリーン等の演奏も参考にしてください(授業内で聞きましょう〜)
ここで皆さんに質問ですが、(譜例7)のようにメジャー&マイナー・ブルース・スケールを特定のコードの上で配置すると何故?コード・サウンドの輪郭がくっきりするのでしょうか?
ちょっと考えてみてください・・・
どうですか?
理屈を使って、ブルース・スケールとコード・トーンをぶつからないようにするという方法はあります・・・が
ブルースのミュージシャン達は耳を使ってカラーの使い分けをしているのだと思います。
緊張したい!=マイナー
落ち着きたい〜=メジャー
悲しい=マイナー
明るい=メジャー
ブルースっぽく=マイナー
カントリーっぽく=メジャー
R&B=マイナー
ポップ=メジャー
耳を使って、メジャーとマイナーを言ったり来たり・・・混ぜたり・・・
それが一番自然ですね
ブルースという音楽の一端を垣間みていただけたら幸いです。
それでは最後にジャズ・ブルース進行にメジャー&マイナー・ブルース・スケールを当てはめてみましょう。
譜例9)ジャズ・ブルース進行 in C
必ずしもこのスケールの配置でなくてはいけないという訳ではありませんが、それなりの理由があってスケールを決めています。それを自分なりにアナライズして学習材料にしてください。
そして自分で工夫しながらメジャー&マイナー友達大作戦!を作ってみてください。
こんな感じです〜
譜例10)
皆さんは各スケールの特徴に慣れる為に書きソロを作る事をお勧めします。
最後に「マイナー・ブルース・スケール」「メジャー・ブルース・スケール」
それぞれの書きソロを載せておきますので参考にしてください。
譜例11)「マイナー・ブルース・スケール」
譜例12)「メジャー・ブルース・スケール」
来週はブルースのコード進行についてお話し致します。
こちらの本は今回の授業内容をさらに深められる内容です。
興味あれば是非〜
私の本もよろしく〜〜
How to Improvise 第2回はブルースです。
アドリブを練習する時に何を練習するか?「練習の素材」はとても大事です。
アドリブの素材?って何でしょう?
スケールやコードなども素材ですが、もっとも重要な素材は「曲」です。
どんなジャンルの音楽でも最終的に観客に届ける物は曲です。
我々ミュージシャンはスケールやコード、理論等を学んだ物を全て曲の中に反映させて行くのです。
今回は「アドリブの素材」としてのブルース・・・?
と、いうお話をしましょう。
ブルースとは何か?
簡単に言うとブルースとは
「AAB形式の12小節の曲」です。(12小節ではない場合もあります)
世間では、ブルースと言う名詞はいろんな使われ方をしますので混乱の素です。
「なんかブルースっぽい」(形容詞?)
「ブルースのCDは何処ですか?」
タワレコ店員「5階です」(ジャンル?)
「エリック・クラプトンはブルース・ギタリストだ!」(スタイル?)
「ナウ・ザ・タイムは12小節のブルース進行だ!」(構成?)
ブルースはホントに色々あります。
「柳ケ瀬ブルース」というの曲もあります・・・(演歌?)
ブルースというのはとても狭い音楽でもあります。
例えば「バラード」という言葉は、
ゆっくりな曲とか(テンポ)
ロマンチックな歌詞(フィーリング)
とかいった使い方をする物で、構成とか、コード進行、小節数を示したものではありません。
すなわち、バラードはコード進行もメロディも構成も、なんでもいいんです。
対して「ブルース」という言葉には、
小節数
コード進行
フィーリング
時にはメロディの音使いまで・・・示す場合があります。
「ブルースという楽曲」はかなり「狭い範囲でバリエーションを作っている」のですが、じつは
制約が多いというのはかえってやりやすいんです…
ブルースは同じ構成の同じコード進行の似たようなテンポで、無数のヴァリエ〜ションがあるのです。
狭いから深いとも言えるのですね。
このブルース独特のルールを利用しない手はありません!
アドリブを「即興」ではなく「ゲームのルール」だと思って先ずそのルールを覚えることから始めてみましょう。
ブルースは「12小節=AAB形式」の曲です。
この構成には非常に大切な意味があり、ブルースの作者たちは意識するしないに関わらずこの構成の制約を受けています。
この構成をアドリブに取り入れる方法を紹介いたしましょう!
名付けて「AABブルース!」(ダサっ!)
A)4小節
A)4小節
B)4小節
まずメロディが始まります→A
それを繰り返します→A
最後に違うメロディで終わります→B
それぞれが4小節になっています。
ネタふりが2回
オチが1回
このフォームはブルースの歌詞が源になっています
Lyric Structure を観てみよう!
次の曲達を見てください。
Born in Chicago
AI was born in Chicago, nineteen and forty-one
AI was born in Chicago in nineteen and forty-one
BWell, my father told me"Son, you'd better get a gun”
Stormy Monday [T-bone Walker]
AThey call it stormy Monday, but Tuesday's just as bad
AThey call it stormy Monday, but Tuesday's just as bad
BWednesday's worse, and Thursday's also sad
2回同じ事を歌って最後に違う事を歌っているのがわかりますか?
他にも面白い歌詞がたくさんあります (和訳で)
「アーミー ブルース」[カルヴィン・ブランド]
朝から憂鬱だ、最悪の日がついに来た
朝から憂鬱だ、最悪の日がついに来た
アメリカ政府に徴兵されて楽しいはずは無い
「バレルハウス ウーマン」[リロイ・カー]
いつも浮かれてるブギウギ娘
いつも浮かれてるブギウギ娘
そんなに浮かれてると頭がいかれちゃうぞ?
「ミステリー トレイン」[ジュニア・パーカー]
俺の乗っている汽車は16両連結
俺の乗っている汽車は16両連結
この長い黒い列車が、あの娘を故郷から連れ去った
「フューチャー ブルース」[ウイリー・ブラウン]
1分が1時間、1時間が1日になる
1分が1時間、1時間が1日になる
俺の女が浮気をやめない限り
AABの歌詞の構成(lyric structure)はブルースの「伝統的な構成」です。
今回はブルースの「構成を利用」したアドリブの練習法
及びブルースのテーマの作り方を紹介します。
まずはジャズレジェンド達の有名なAAB形式のブルースを見てみましょう。
Ex1)Blues Walk [ Clifford Brown ]
⃞
Ex2)Blue Monk [ Thelonious Monk ]
⃞
Ex3)Mr P.C [ John Coltrane ]
⃞
Ex4)Tenor Madness [ Sonny Rollins ]
⃞
同じメロディ(モチーフ)が2回繰り返した後違うメロディが1回
構成と言う「テクニック」はなかなか便利な物です。
其の通りに並べると「ブルースっぽく」なります。
フレーズを一所懸命練習しても、スケールを頑張ってやっても、速弾を鬼のようにやっても、
「なかなか良いアドリブができな〜〜い」と御悩みの方は是非お試しを。
「AABブルース」を実際に作ってみよう!
次の進行でやってみましょう
作ってみた・・・
Ex5 AABブルース
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「やり方」
先ず、Aのメロディを作ってください。
そしてそれをそのまま下の4小節に「コピペ」します。
最後は違うメロディ(B) を作ってください。
AABが完成したら(B)を新たな(A)にして次のAABを作ってみましょう。
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ブルースと言う「構成」をアドリブの「素材」として使う、これは後に、さらに高度なアドリブを修練するときに必要なテクニック「モチーフ・デベロップメント」の初期段階の練習法として大変有効です。
ここで少しモチーフ・デベロップメント(動機の発展)の説明をしましょう。
モチーフとは簡単に言えば「コピー&ペースト」の事です。
何をコピーするか?
まずは「リズム」です。
あなたが最初に作ったリズムをコピーして、次のメロディに貼っつけるのです。
モチーフ・デベロップメントと言う技?です
譜例1)
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譜例2)
譜例1、2)は「リズムが同じで、違う音」が当てはめられています。
このようにリズムをコピペして、発展させるのです。
「意図的に似せられたメロディの連結」と言う事ができるでしょう〜
Blues Walkのリズムだけを書き出してそれに音を当てはめてみましょう
譜例3)
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このリズムをモチーフにして他の音を当てはめてBluesを作曲してみましょう。
Ex6)
Blues Walkのリズムを元にしてにして作ったオリジナルブルース
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と、いうふうに皆さんもAABブルースを作曲又はアドリブ練習に取り入れてみてください。
Qこれが何のリズミック・モチーフから出来ているか分かりますか?
AABという伝統的な形式を使うと何故かブルースに聞こえる・・・?
と、いう不思議な現象のお話をしました。
いつ頃どこでこの形式が成立したのか?諸説ありますが、次回はその辺の話も含めて、もう少しブルースのお話を致します。
それでは又来週〜
私の本もよろしくです。
「ギター基礎トレーニング」は学習者がギタリスト、「質問コーナーは「色んな楽器の方」からの質問に答えた記事です。
ギターはピアノに負けてます・・・はっきり言って
ギター独自のフレット・ボードという「ラビリンス(迷宮)」を支配するのは並大抵のことではありません。
そうです、コードを押さえる練習は「耳の訓練になる」という事です。
ロジックを使って練習する事は、とっても効率がいいのです。
先ずはドロップ2体験コーナ〜
ここまで、粘り強く押さえきった方達は、必ずストレッチをして、しばらく休んでから次のExに進んでください。
Drop2 Diatonic Exercise
Diatonicを使っていろんなExerciseを作る事が出来ます。
Q「ビバップ・スケールについてもう少し詳しく知りたい・・・」
前回記事について質問をいただきました。
本ブログ記事は主に私の指導学生からの質問に答えて書いています。そのため学校のみで扱う専門用語も時折出てきます。
一般の読者の方とも共有して、何かのお役に立てればいいな、と思って一般公開にしております。
ご理解の上お楽しみくださいませ。
ビバップ・スケールとは、コード・スケールに半音の経過音を加えた物です。
コード・スケールとは簡単にいえばコードにあったスケールですから・・・
メジャーコードにはメジャースケール
マイナーコードにはマイナースケール
ドミナントコードにはドミナントスケール
と言う事です。
それらに半音の経過音を入れるとは・・・?
メジャー・スケールは半音は6と5の間に半音を入れます。
譜例1)Major Bebop Scale
さて、何故こんな事をするのでしょう?と言うのが今回の質問です・・・
Bebopという音楽が流行った頃、様々な方法でコード進行に対するおもしろいアプローチが試されました。
管楽器奏者達はどうやったら「コード進行をシングル・ノートで表現できるか?」という超絶マニアックな試練に取り組んできたのであります。
ビバップ・スケールもその中の一つ・・・
半音を入れる事に寄って◯で囲んだ音を強調することになります。そしてそれらはC6と言うコードを表しています。
譜例2)Major Bebop Scale
何故強調されるか?・・・は、それらの音が強拍(down beat)に来るからなのですが、今はサラッと流して・・・
半音を一つ加えて8音スケールにする事に寄ってパッシングノートからコード・トーン(C6)へ均等に配分できる様になります。
と、言うわけでMajor Bebop ScaleはC6と言うコードを強調する為のスケールなのです。
ドミナントもマイナーも同じく・・・
譜例2)Dominant Bebop Scale
譜例3)Minor Bebop Scale
このようにビバップ・スケールの構造を理解する事でフレーズを創る時にもキャラを最大限に利用する事が出来ます。
要するに、C6のコードトーンをなるべく強拍に来る様に工夫すればBebop スケールのキャラクターを生かしたフレーズが作れると言う事ですね。
Bebop のレジェンド達の演奏を聴いてみると、なるほどそうか!と思わされるところはいっぱいあります。
奇数拍(down beat)にコード・トーンを配置するようにパッシング・トーンを使う訓練は耳が慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、手始めにCharlie Parker. Clifford Brown.Pat Martino. 初期のMcCoy Tyner達の演奏を聴いて慣れる所から始めればいいと思います。
Charlie Parkerのフレーズをみてみよう〜
譜例4)Charlie Parker [Klaun Stance]
各フレーズの奇数拍(down beat)音符が殆どコード・トーンです。即ち Charlie Parker は意図してコードを強調しながら演奏していると言う事です。
譜例5)Charlie Parker [Donna Lee]
と、いうわけで、新入生のみなさん、入学おめでとうございます!